
『パン作りの失敗と原因はこれだ!』なんて言ったら、少しオーバーですね(^^♪
たまに、これからパン作りをしようかな?って考えてる人に
「パンってどうやったら失敗するの?」と聞かれます。
はじめてそれを聞いた時は「え?失敗したいの?」と思ってしまったのですが、
何人か同様の質問をする人に出会ったので、
【どうしたら失敗するかがわかっていたら成功する(あるいは失敗しない)】という発想だと気づきました。
パン作りの失敗になりそうなこと

間違いなくパン作りには、失敗の原因になりそうなことがいくつかあります。
それらを挙げる前に、こちらのパン作りの工程を確認しておきたいと思います。

計量ミス

ひとつめの失敗の原因は計量ミスです。
一つひとつの原材料を正確に量ることで、大きなひとつめの失敗から逃れられます。
でも実は、計量ミスにも2パターンありまして、計量という工程は侮れません。
量り間違い

パン屋さんではベーカーズパーセントを用いたレシピを使用していますので、
出版されている『パンの本』も大半はベーカーズパーセントで表記されています。
そのようなことから、レシピの計算間違いで計量ミスが発生します。

わたしも度々やらかします。
レシピメモには、よく使う量を計算して記載しています。
例えば、普段小麦粉380gでよく作るのでメモは380gのベーカーズパーセント。
でも今日は400gで作る。という時、
電卓をおいて計算しながら計量しはじめるも、
途中から無意識でいつものメモの分量をはかっていたりします。
また、水分の一部を前処理に使用しているのを忘れて、水分を計量してしまうミスもよくあることです。
《量り間違いによる生地やパンの影響》
①生地にならない=水分or粉の計量ミス
・水分過多(粉が少ない)→どろどろの生地
・水分不足(粉が多い)→粉っぽさい、ガシガシでボソボソの生地
②生地になった後の工程で発酵に影響=イースト・食塩・砂糖
・発酵妨害/発酵過多=発酵時間も狂う
③生地の表情がおかしい=イースト・食塩・砂糖
・生地がテカる、のっぺりする…など
④パンの色ツヤに影響=イースト・食塩・砂糖
・焼き色がまだらになる、焼き色が悪い(orつき過ぎ)
⑤味のバランスがくずれておいしさが変わる(またはおいしくない)=全部
・味、食感、風味、見た目のすべてに影響
※どれも許容範囲があります
参考:ベーカーズパーセント
どうしよう?!水量を間違えた!
塩と水のはなし

小麦粉と水分の計量ミスは、ミキシングの初期に気づきます。
そこで、過不足の調整をし
副材料の間違いもあるならそれを調整すれば
なんとか回復し、大失敗からは逃れられます!
量り忘れ

計量ミスの中の最大の失敗は量り忘れです。
これは最終的に思い出さなければ、入れ忘れることにつながり、パンは完全に失敗の道へまっしぐらです。
《致命的な入れ忘れ》
①イースト…発酵しない、望んでいるパンにならない
②食塩…発酵バランスがくずれる、のっぺりする、焼き色がつかない、おいしくない

入れ忘れに気づくのは、一発酵の最中です。
『あれ!?様子がちがうっ!?』
これはほとんどアウトです。失敗確定。
もし、ミキシング終了直後に気づけば、
多少のミキシングオーバーも覚悟の上
追加でミキシングし、ギリギリセーフでしょうか。
失敗生地は①そのまま焼いて処分するか②別のパンのミキシングに少しまぜるしかありません。
ミキシング 過不足

計量の間違いがなければ、ミキシング時の失敗で大きなものはありません。
手仕込みも含めて、ミキシング不足やミキシングオーバーによる影響は
理想のミキシングの結果が【とってもおいしい】だとすると
ミキシングの過不足のパンは【食感や風味がちょっと悪い】という感じ。
100点満点はとれないけど、それなりにパンになるので失敗に入れなくてよいと思います。
もちろん、”プロのパン屋さんは毎回同じ品質で常にベストな商品を提供するべき立場”ですので、
厳しくジャッジしてミキシングの過不足はやや失敗で出来上がりをみて後悔や反省する対象ではあります。

おうちのパン作りは出来上がればなんだっておいしいですからね。
そして今は「こねないパン」というホームメイドパンのレシピも出てきました。
ミキシングの過不足は失敗と思わないでどんどんチャレンジしてほしいです(^^♪
《ミキシング不足の影響》
・一次発酵~焼き上がりまで…少し膨らみが弱い
・パンは生地が縦にのびない、特に皮の部分の目がつまる
捏ね上げ温度 高温

(2022.5.14の本日のパン)
毎回口を酸っぱくして「パン作りは温度管理」「捏ね上げ温度が大事」と言っています。
捏ね上げ温度が狂うと失敗になるのか?
大失敗にはなりませんが、支障は出ます。
温度が高すぎるよりは低い方がよく、発酵する時間を増やせば理想をそれなりに取り戻すことができます。
《捏ね上げ温度の目標オーバー/高温過ぎる生地の影響》
・一次発酵が早く進み過ぎる
・ガスが抜ける
・生地にずっと力がなく、キメが粗い
・二次発酵でも少ししか発酵しない
・パンの断面は細かい気泡に粗い気泡がまじる
・食べるとアルコール臭がする
・パンの焼き色がつかず、窯のびしない

※これは一次発酵時の温度が高すぎても同じようになるので注意が必要です!
発酵 過不足
パンには発酵がつきものです。
ミキシング後の一次発酵(フロアータイム)、分割&まるめ後のベンチタイム、成型後の二次発酵(ホイロタイム)。
これらの発酵の過不足もミキシングの過不足と同じで、大きな失敗にはなりません。
もちろん、全ての発酵の工程で理想の発酵終了を見極められると、とってもおいしいパンができます。
発酵の過不足の結果は、パンのボリュームや風味に影響します。

それでもパンになりますからね!
プロのパン屋さんはダメですけど、
ホームメイドパンはこれをたくさん経験することで
おいしいパンに近づくので
失敗を恐れないでチャレンジしてほしいです(^^♪
《発酵不足によるパンの影響》
・一次発酵…生地にツヤがない、のびが悪い、気泡に大小にムラができる、ボソボソの食感
・二次発酵…気泡が小さく潰れる、中にスジが残る、キメがつまる、窯のびしない
《発酵過多によるパンの影響》
・一次発酵…パンの底が潰れる、パンの上部に空洞ができる
・二次発酵…パンの上部と下部で気泡の大きさに差が出る、色づきが悪い

気を抜くなかれ!!!
二次発酵完了後~オーブンに入れる前に
パン生地を強く触る、天板を落とすなどで
生地が潰れたら…ふっくらパンにはなりません。
残念ながらこれはパン作り失敗となります(´;ω;`)ウゥゥ
焼成 過不足
パンの焼成は【大物は下火・小物は上火】です。
失敗を防ぐためには、上下だけではなく左右の間隔もあけることが必要です。
オーブンの火まわりのくせをつかむこともポイントのひとつです。
家庭用オーブンは庫内が小さいので、天板の入れ替えをして火まわりを調整します。
時には、焦げ防止でアルミホイルを覆って焼成時間を守る工夫をします。
《焼成不足》
・生地がナマっぽくなる、ケーブイン(側面が内側に凹むこと)、焼き色があまい(まだら)、型焼きの場合は型から取り出せない
《焼成過多》
・焦げる(食べられない)、表皮が厚くなる、水分が余計にとぶのでパサつく(クラム)
冷却時の汗かき
パンが焼きあがったら、あら熱をとる【冷却】の工程があります。
冷たい場所に持って行く必要はなく、天板から網やラックにパンを移して自然に熱が飛ぶのを待ちます。
ここでの失敗は、あら熱があるうちにビニール袋に入れてしまうこと。
その結果はべちゃべちゃになってしまいます。
この状態を【あせをかく】と言います。
また、手ごろなところで袋に入れて乾燥から守るのもパンのおいしさを保つためには大切です。

バゲット購入時には、
状態を見て紙袋からビニール袋に入れ直すことが大事です。
さわって熱を感じなければビニール袋に即うつすっ!
パン作りの失敗と原因 まとめ

いかがでしょうか?
『パン作りの失敗』はどのレベルを狙うかによって「失敗」か「失敗じゃないか」が変わります。
「パンにならないことが失敗」ならば、キチンと計量をして入れ忘れなければ失敗はおきません。
それ以外は「とってもおいしい!」「見た目が素晴らしい!」「大成功!」というゴールから
どれくらい足りないかというだけで、「失敗」ではないのかも???
今日は「計量はしっかりやろう」「捏ね具合、発酵や焼成のタイミングは経験でおぼえるべし!」
「焼成前の生地に衝撃を与えてはいけない!」
「どうしたら失敗するか?ではなく、どうしたらおいしく作れるか?と考える方がうまくなるよ」
「楽しく作ればホームメイドパンはだいたいおいしい(^^♪」というおはなしでした。
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