


チーズ蒸しパン、さつまいも蒸しパン、抹茶蒸しパン、黒糖蒸しパン…
これらのいわゆる蒸しパンは、パンではなく菓子のジャンルです。
または、無発酵パンというジャンルに入ります。
パンと同じく小麦*が主材料で、膨張剤はベーキングパウダーやベーキングソーダ(重曹)を使用し、
混ぜあわせた生地を成型して、蒸し器で蒸します。別名は蒸しケーキ。
小麦*=薄力粉であることが多い
参考記事:小麦粉の種類と等級のはなし
レシピ4:ソーダブレッド(無発酵パン)
蒸しパンの種類

先に挙げたように、蒸して作るパンにはパン用酵母を用いるものと、膨らし粉によるものと2種類あります。
①パン用酵母を用いたもの…肉まん、あんまん、ピザまんなど
②膨らし粉を用いたもの…たまご蒸しパン、さつまいも蒸しパン、抹茶蒸しパンなど
その他、②の中にはお饅頭やカステラ(蒸し)なども蒸しパンの歴史からは外せません。
生地を蒸してでんぷんを糊化した状態が蒸しパンで、いずれもふっくらとした柔らかさが魅力です。
その蒸し方は、生地を蒸し器に入れて、蒸気で加熱してふくらませます。
おいしく蒸し上げるには、たっぷりの水を沸騰させて、途中でフタをあけないようにします。

蒸気が上がる前に入れると水っぽくなるし、
フタを開けて蒸気を逃がすとボリューム不足なります。
歴史

パンのルーツは『パンの歴史①小麦とパンのはじまり』でおはなししています。
大麦・小麦の収穫から、小麦粉→水とあわせた生地を焼く→発酵生地を焼く…
そのようにエジプトから伝来していったパンの起源ですが、地中海をこえてヨーロッパに渡っていきます(『パンの歴史②エジプト~中世ヨーロッパ時代』)。
時を経て、シルクロードから中国大陸に渡ると、古来からの加熱方法として生地を蒸し焼きにしました。
中国でも地方によってかなり違うようですが、生地を発酵させずに蒸したウォートウ(窩頭)と、生地を発酵させて蒸したマントウ(饅頭)があります。
中国では、日本でいう「中華まんじゅう」、蒸しまんじゅうを中国では総称してマントウ(饅頭)と呼んでいます。
さらに、具が入っているものをチャオズ/パオズ(包子)と呼び、具なしをミュンパオ(麵麭)と呼び分けるのが一般的です。

「パオズ(包子)」の中でも、肉・シイタケ・野菜・豆などを煮たものを中に詰め込んだ「ロウパオズ(肉包子)」と、小豆あんを入れた「ドウシャパオズ(豆沙包子)」が代表的です。
日本の蒸しパンの歴史

日本に現在の和菓子のような「お饅頭」が入ってきたのは室町時代(1336~1573年)、そして、パンが入ってきたのは鉄砲の伝来と同じ(1543年~)ころです『パンの歴史③ 日本のパンその1』。
その後、明治時代(1868~1912年)にパン製法が一般的に確立され、マントウや饅頭に近いパンは一掃されてしまいます。
一方で、重曹が入手しやすくなったことから、発酵時間の短縮に一目おかれ、こどものおやつや代用食として食されるようになりました。
また、米騒動(1918年)が起こると、玄米入りの具なし蒸しパン「玄米パン」が誕生しました。
1935年代には中国大陸との往来が活発化し、マントウやパオズをもととした中華まんが、中華街などから広まりました。
1945年(第二次世界大戦後)には、ベーキングパウダーが使用されるようになり、貴重な砂糖の代わりにサツマイモや栗を混ぜた蒸しパンが食されるようになりました。
1970年~1980年代になるとスーパーやコンビニの普及によって、その回転率の良さから日持ちしない蒸しパンも取り扱われるようになると、大手製パンメーカーがこぞって開発を始めました。
黒糖・よもぎ・サツマイモ・チョコレート・バナナ、そしてチーズ!!
たくさんのヒット商品が生まれて今日にいたっています。

いろんな蒸しパン












参考記事:サンドウィッチのはなし
パンのフィリングのはなし
パンの種類と分類のはなし
まとめ

今日は、「わたしの高校生時代にソフトチーズ(現北海道チーズ蒸しケーキ)が発売されて衝撃をうけたよ」
「小さいころ、母が肉まんやあんまんを手作りしてくれていたよ」
「中華まんは蒸したてのあつあつがおいしい」
「あるコンビニで季節限定のスイーツまんをまとめ買い(冷凍状態)したことがあるけど、
おうちで再現蒸しするのに苦労した経験があるよ」
「おうちの手作り蒸しパンは手間だけど、やっぱりおいしいんだよね」
というおはなしでした。
↓パンくず確認
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