
『パン屋さんのたちつてと』これは、パン屋さんやパンのあるあるを50音でまとめたものです。
これまでのアーカイブはこちらからご覧ください。
参考:パン屋さんのあいうえお
パン屋さんのかきくけこ
パン屋さんのさしすせそ
パン屋さんのたちつてと「た」

パン屋さんは「た」のしい(楽しい)!いや、パン作りが「た」のしい(楽しい)のか?!
でも、「た」のしい(楽しい)だけではないのも事実です。
「た」ち(立ち)仕事

パン屋さんは「た」ち(立ち)仕事です。一日中ずっと「た」って(立って)います。
しかも、ほとんど前かがみで「た」って(立って)います。
動いているときは、何か物を取りに行くときや、工程上パン生地を移動させているときなどです。
そんなことから腰痛持ちは多く、友人の中には毎年ぎっくり腰になる人がいます。
彼は「もうこれは、ネンイチ(年に一度)のイベントだ!」と苦笑いしていました。
おもしろいことに、「た」って(立って)いることが多いので、個別になんらかのリズムにのっている職人も多いです。
足踏みのようなステップを踏んで、分割時のスケッパーで生地を切る音とあわせると…
タンタンタタタッタンタンタタタッタンタンタタタタ…
まるでどこかの民族のリズムで踊っているようです。
足踏みステップは横揺れver.と縦揺れver.の人がいました。
最初見た時は「おトイレを我慢しているのか?」と思いました。笑

向かい合わせで作業することが多いので、
わたしもつられて横揺れになっていました(^^♪
やっぱりパン屋さんは「た」のしい!
「た」めいきNG

“「た」めいき(溜息)をついて仕事をしないで!“というパン屋さんに勤めていました。
わたしは基本、明るく前向きで仕事のONとOFFはきっちり分けられるタイプです。
ですが、そのパン屋さんにいた時に一度だけ、
「○○ちゃん、帰っていいよ。そんなんじゃパンがまずくなる。」と言われたことがあります。
ものすごく反省し、また社長(友人)をパン職人としてとても尊敬した一幕でした。
もちろん、すぐに気持ちを切り替えたのでその日もちゃんと働きましたが。
「だ」つもう 必須
「だ」つもう(脱毛)はパン屋さんでは基本です。
男性たちは特に、指、腕、脇…までも処理をして、毎回見せてくれました(ー_ー)ミセナクテイイ…
頭髪はたいがいキャップやバンダナなど、パン生地への混入防止のアイテムでホールドしますが、
その他はホールドできませんので、眉毛とまつ毛以外は「だ」つもう(脱毛)です。
髭は日本の多くのパン屋さんでは禁止にしているところが多いです。

パン屋さんのたちつてと「ち」
パン屋さんは「ち」から仕事です。
でもそれは周知&承知の上できっとパン職人になっているはず…。
パンの「ち」んれつ(陳列)

パンの「ち」んれつ(陳列)はおもしろいです。
そして、どんなジャンルのお店にも「ち」んれつ(陳列)のルールってあるものです。
パン屋さんの「ち」んれつ(陳列)がおもしろいと言っても、
お店ごとにこだわりがちがうはずなのでここでのはなしが、オールマイティだとは思わないでください。
新商品や目に留めてもらいたいものは、トングやトレーの近くにあります。
それと、中央あたりの人気商品が置いてあるあたりにも一緒に置かれたりして。
とはいっても、パン屋さんの「ち」んれつ(陳列)棚は商品がなくなればどんどん集められていきますよね。
見やすいように、たくさん種類があるように置き方が工夫されています。

朝の常連さんと夕方の常連さんでは
同じパンでもそのパンの定位置が変わっているんですね。
たまにいつもと違う時間帯に行くと
「あれ?今日はいつもとちがうところにある~」
なんて経験があるのではないでしょうか(^^♪
「ち」らかりがち

パン屋さんには「ち」らかり(散らかり)がちな場所がいくつかあります。
ひとつめがシンク。ふたつめとみっつめが冷凍庫と冷蔵庫、最後が倉庫です。
シンクは気がつくと山盛りの洗い物で埋まっていたりします。
基本的にはみんな、使用した人が自分で洗うのですが、たまにそーっと置いていく輩もいます。笑
作業の段取りの都合ですぐに洗えない場合にとりあえずシンクへ置くのですが、溜まるんですよ。
あまり溜め込むとテンションがさがるので、隙を見て洗いに行くようにしていました。

これは家庭のシンクでも同じですよね。
わたしはパン屋さんのなごりなのか、
調理後の洗い物は好きですが
食事後の洗い物はちょっと腰が重くなり、
よっこらせです。
パン屋さんのたちつてと「つ」
自営のパン屋さんは開業するより「つ」づける(続ける)ことの方が難しいと、自身の経験からお伝えしたことがあります。
「つ」まみぐい

パン屋さんにいると、パンを「つ」まむことがあります。しかも頻繁に。
新商品の登場や、試作品、その他アレンジレシピなどを「つ」まみます。
また、爆発して商品にならないアンドーナツやカレーパンを「つ」まむのもちょっと好きでした。
「つ」きあいが悪い

申し訳ないことですが、職業パン屋さんは「つ」きあいが悪いです。
一般の人と生活時間が異なるため、多くのお誘いを断るハメになってしまいます。
寝る時間&起きる時間が早いので、夜ご飯を一緒に食べることもなかなか難しい。
土日祝が定休日じゃないお店も多いので、世の中のみなさんと休日が合わないんですよね。
次第に同業者としか「つ」きあいがなくなったりします(T_T)
パン屋さんのたちつてと「て」
パン屋さんはよく「て」(手)を洗います。
小麦粉から「て」(手)の水分をとられて「て」あれ(手荒れ)もつきものです。
「て」いきゅうび(定休日)

パン屋さんの「て」いきゅうび(定休日)。
週1回の「て」いきゅうび(定休日)、または年中無休で「て」いきゅうび(定休日)がないパン屋さんも多いですね。
お店のお休みとは関係なく、休めたらいいのですが…パン屋さんは勤勉です。
パン屋さんを経営していると休んでいられないこともしばしば。
わたしもプチペの時はワンオペでしたので、途中から「て」いきゅうび(定休日)を週2回に増やしました。
近年の友人たちのお店を見ていると、本当に上手に休んでプライベートを作るように変化しています。
パン屋さんにも働き方改革ですね。
「て」んしょく(転職)回数が多い
パン屋さんだけではなく、料理人の世界も同じだと聞いたことがありますが、
「て」んしょく(転職)回数が多いのはパン屋さんの特徴です。
どうしてかというと、パンの種類・パン屋さんの種類が多いのでいろんなところで修業をする必要を感じるからです。
例えば、ホテルパン・百貨店ベーカリー・(大手工場)そして個人店、さらには専門店(ドイツパン・天然酵母など)を
ひと通り経験してから開業したいと思っているパン職人は多いのです。
また、それが普通なので、パン業界を卒業して別の業界に転職する際には理解をしてもらえないケースがあります。
パン屋さんのたちつてと「と」
パン屋さんの「ど」くりつ(独立)は、その道に入った者がとりあえずは目標にするものです。
チャンスをつかめるか、継続できるか…。
パンが好きなだけでは「ど」くりつ(独立)・継続できない厳しい世界です。

「と」もだち
パンの「と」もだち(友達)は絆が深いです。
わたし自身のときもそうでしたが、誰かの開店のときは必ずみんなで応援に行きました。
普段はみんな忙しくしているので、そんなにやりとりしないのに
誰かの開店となれば、情報も瞬く間に広がり駆けつけました。
「と」もだち(友達)っていいものですね。
「ど」このパンがいちばんか?

たまに?いえ、相当な回数”「ど」このパンがいちばんか?”と聞かれます。
この質問はパン職人を困らせます。
パンの種類とパン屋さんの種類がたくさんありすぎて、「ど」このパンがいちばんか?なんてしぼれないからです。
また、そこまでパン屋さんを知り尽くしているわけではないので、「ど」このパンがいちばんか?って恐ろしくて答えられません。
尋ねてくださる方のパンの好みにもよりますからね。
なんて、聞いてくださる方は多分「ちょっと話題づくり程度に聞いてみただけ」なんでしょうけど。
それを見越して「最近はどこそこのパン屋さんにハマってる」って答えるようにしています。
パン屋さんのたちつてと まとめ

今日は「た」のしい(楽しい)ばかりじゃないパン屋さんの、ほかの面を紹介しました。
「た」いりょく(体力)勝負の仕事でもある、パン屋さん。
それは「好きなだけじゃできないけど、好きじゃなきゃできない仕事だよ」というおはなしでした。
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