バターロールは日本独特のプチパンです。
そもそもロールパンって何なのでしょうか?
英語ではROLLS、フランス語ではPETIT PAIN(プチパン)…これらは小さなパンの総称です。
色んな国のロールパンたち
例えば、フランスでは少し高級なレストランでは、たいがいプチパンがサービスされます。
(一般のレストランでのサービスパンはバゲットです)
ひとくちにプチパンと言っても様々なものがありますが、フランスパンで代表的なものはキノコ型をしたシャンピニオン(キノコの意味)です。
さらにワンランク上となると、全粒粉やライ麦入りのプチパンが多いようです。
各国のロールパンとして日本でなじみがあるのは、オーストリアの三日月型をしたクレセントロールや
レーズン入りバンズ、ドイツのカイザーゼンメル、花形で中が空洞になったイタリアのロゼッタなどです。
アメリカ人の大好物であるパーカー・ハウス・ロール(ボストンのホテルにちなんで名づけられた)も覚えていただきたいロールパンです。
ロールパンの分類
ロールパンは大きく分けると3種類。
⑴ソフト…多くはほのかに甘い
⑵ハード…クラスト(表皮)がパリッと芳ばしい
⑶セミハード(ソフトとハードの中間)…全粒粉やライ麦粉を用いたもの、シードが入っているものなど
日本で生まれたバターロール
バターロールと言う名前で最初に思い浮かぶのは、ナプキンロールです。
ナプキンロールとは、”軽く巻いて立ててあるナプキンを横にしたような形”をしており、口当たりがソフトな食事用プチパンです。
まるで外国生まれのような顔をしていますが、
イギリスやアメリカで昔から作られているソフトロールは結び(編み)成型が多く、
このような形のものはありません。
ナプキンロールに最も似ているのは、セミハードのドイツやオーストリアのクレセントロールですが、
似ているだけで同じではありません。
バターロールの小歴史
どうやらバターロールのルーツとおぼしいのは、1935年ころに日本で作られていたバター小物という細工パン。
細工パンとは、食パンの生地に砂糖・バター・牛乳を多く入れてのばし、バターを塗り、うずまきやツイストに成型したものでした。
『バターロール』という配合が現れるのは、1954年ころ。ナプキンロール型の写真が残っているのですが、
食塩が少なくて、いかにも菓子パン扱いされるものでした。
それが、1960年ころになって今日と大差のない食事用のバターロール(ソフトロール)の生地配合に生まれ変わりました。
当時のバターロールは、生地をのばして溶かしバターを塗り、ナプキン型にまいたものでした。
この後になって、かつてのバター小物の製法と、ソフトロールやハードロールの製法が混ざり合って現在の製法にたどり着きました。
手先の器用な日本人にとても向いていたので
この製法が一般化したと言われています
バターロールはパン作りの基本
バターロールはパン作りの基本がしっかりつまっています。
ですから、パン作りの本の1ページ目あるいは、それ相当のスターターメニューとして紹介されています。
このブログでもレシピ1はバターロールです。
参考:基本的な作り方 バターロール
レシピ1 バターロール
バターロールの配合 ポイント
色んな配合が考えられる中で、狙いたいポイントをしぼっていくと理想に近づけられます。
例えば、『噛み切りをよくするためには?』『どこまでリッチにできるのか?』
『なめらかな食べ口にするには?』『バター味でしつこく感じたら?』など…。
《原材料ごとのポイント》
⑴小麦粉
・強力粉100%…バターのみ使用orリッチな配合
・強力粉60~70%+準強力粉40~30%…標準的
・強力粉80~90%+薄力粉20~10%…噛みきりがよくなる
⑵砂糖
・食事向き…8~10%
・おやつ向き…12~14%
⑶食塩…1.6~2%
・食塩量は一般的に砂糖量とのバランスで考える。バターロールはやや多くした方が味がよくなる。
⑷油脂…バターのみでしつこい/高額になるなどの理由から油脂を調整する
・バターのみ…高級志向
・バターと併用…①+マーガリン②+ショートニング
・高級マーガリン+ショートニング=上記①や②と同等の効果がある
⑸卵…5~15%
・卵は使用しない場合もある
・卵黄はくちどけ、焼き色、うまみに影響する
⑹乳製品…2~4%
・通常は脱脂粉乳(スキムミルク)使用
・その他に生クリーム、練乳、牛乳を使用する場合もある
⑺イースト(生)…2~4%
・ノーパンチ法では3%では発酵60分が一般的
参考:製パン原材料のはなし
お砂糖と糖質のはなし
イーストの種類と発酵のはなし
パンの作り方 ①ストレート法
卵と牛乳不使用バージョンはこちら⇓
バターロールの失敗の原因
製パンの基本となるバターロールなので、出来上がったパンを見て次回の改善に活かせるように
状況ごとに原因となる可能性をあげておきます。
◆内相にしまがでる
①生地がかたかった
②発酵時の温度が不適(発酵室/室温)
③手粉の使い過ぎ
④成型時の締めすぎ
◆ボリューム不足/巻きが少ない/表皮にあわがでる
①小麦の力が弱い
②ミキシング不足
③生地がかた過ぎた
④捏ね上げ温度が低い
⑤発酵不足
⑥生地の冷え込み
◆焼き色のムラ
①小麦の力が弱い
②生地がやわらかい
③発酵時の温度が不適(発酵室/室温)
④成型時の生地いたみ
⑤卵液塗りが不適当
◆形が不ぞろい
①小麦の力が強すぎる
②ミキシング不足
③ベンチタイム不足
④成型の巻きが強すぎる
⑤ホイロ(二次発酵)不足
バターロール まとめ
近年では、バターの多いソフトロールの配合をバターロールと呼んだり、テーブルロールと呼んでいます。
成型方法も、丸型・棒状・結び(編み)・パーカーハウス型・クレセント型など多種多様です。
パンを焼く時に【大物は下火、小物は上火】という鉄則がありますので
バターロール(ロールパン)を焼く時には上火に気をつけると
表皮の出来がよくなりますよ(^^♪
今日は「パン作りはバターロールから始めるといいですよ」「世界のロールパンは多種多様」
「バターロールは日本人が生み出しただけあってバリエーション豊か!」というおはなしでした。
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