『パンには小麦!』が定着していますが、大麦とライ麦についても知ってもらいたいことがあります。
どうして数ある穀物から『パンには小麦!』となったのか。最初から小麦だったのか?
実はそうでもなかったのです。
まずは大麦から…
大麦のはなし
むかしむかしの大昔、色んな穀物が生えていて、何が食べられて何が食べられなくて、
何をどうしたらおいしく食べられるのかと試行錯誤していた時代がありました。
さまざまな種類の穀物が生えていた中で、大麦や小麦は粒が少し大きめで集めやすかったようです。
知ってか知らずかでんぷんが主成分ですので、大麦も小麦もお腹に安心で無毒です。
もしかしたら、お腹を壊す穀物は多かったのかもしれないですね。
10,000年~8,500年前
10,000年~8,500年前となると先土器新石器時代ですが、
そのころになると、大麦と小麦は栽培がしやすいことが分かってきました。
豆類や雑穀とまぜて食べる『麦の食文化』が定着し始めたのもこのころです。
BC6,500年
BC6,500年は土器時代。
この時代は小麦よりも大麦が主流でした。王様から庶民までみんなが食べていた大麦です。
なぜ大麦が選ばれて栽培されていたかと言うと、こんな理由が挙げられます。
①大麦は、乾燥していない肥えていない土地でも栽培しやすいこと
②小麦より1~2週間早めに収穫できる
中国でも…
先秦時代(BC221年頃)までは大麦のお粥を食べていましたよ♪
日本の大麦・小麦
日本でも江戸時代までは、小麦よりも大麦が食糧用として重要とされていました。
明治30年にそのピークを迎えますが、
その後大麦や裸麦(大麦のなかまで最近スーパーフードとして注目されはじめました)は需要が減っていきます。
これは、政府が小麦の増産を推奨したことや、品種改良や麦づくりの技術向上が要因したと考えられます。
特に
水田の裏作として小麦を作るようになったことが大きく寄与しました!
ライ麦のはなし
ポーランドやドイツなどでは土地が肥えていない、冬の寒さが厳しいところがあります。
そのようなところでは、良質の小麦が育ちません。
ところが、そのような土地でもライ麦はそこそこの量を収穫できるのです!
ライ麦と小麦のブレンド
大昔の人たちは、このことに気付いて小麦とライ麦を作ってふたつを合わせたおいしいパンを作ることにたどりつきました。
ライ麦の全粒粉を混ぜた硬い黒パンは、この時代の努力の結果生まれたものです。
小麦とライ麦全粒粉は色々な割合で作られ、その割合によって呼び名が決まっています。
【ライ麦パンの名称】
①ワイチェン・ミッシュ・ブロート ライ麦粉10~40%+小麦粉60~90%
②ミッシュ・ブロート ライ麦粉50%+小麦粉50%
③ローゲン・ミッシュ・ブロート ライ麦粉90~60%+小麦粉10~40%
④ローゲン・ブロート ライ麦粉100~90%+小麦粉0~10%
⑤シュロット・ブロート ライ麦粉(荒粒)100~90%+小麦粉0~10%
日本では苦手意識を持たれることが多いライ麦パンです。
馴染みがないので無理もないですよね。
まずはライ麦30%くらいのワイチェン・ミッシュ・ブロートがおすすめです♪
ライ麦の特徴
ライ麦には、独特の風味があります。小麦との大きな違いはグルテン組織を持っていないことです。
そのため、ライ麦粉だけではパンにしてもほとんど膨らみません。
小麦粉やパン種を合わせてパンを作ります。
さらにライ麦粉の成分として5%くらい含まれているペントサン(炭水化物の一種であり食物繊維の成分のひとつ)が吸水力が大きいため、重くてしっとりしたパンになります。
ライ麦パンの食べ方
ライ麦が入ったパンは、ジャムのような甘いものをつけて食べるのにあまり向いていません。
なぜなら、サワー種製法などで作られることが多く、やや酸味があるからです。
また、ふわふわパンではないため、多少口の中でモソモソします。
なので、4ミリ~8ミリくらいの薄さにスライスしたオープンサンドウィッチがおすすめです。
ハム・ソーセージ・チーズなどしょっぱいもの、マリネなどの酸っぱいものとの相性がいいです。
ライ麦は食物繊維が豊富で健康志向の人に人気です♪
ライ麦の意外なはなし
世界のライ麦の生産量は穀物全体の2%弱にすぎません。
しかも、パン用の穀物かと思いきや、実際には飼料用に使われる方が多いのです。
残念なこと(?)に、パンに混ぜて食べられる量は少しずつ減っているそうで、一部はウイスキーの原料にもなっています。
日本では、ライ麦パンを食べる人も
製粉会社が作るライ麦の種類も増えていますけどね!
まとめ
今日は「大麦から小麦に移行したのは政府がかかわっていたんだね」
「ライ麦はくせになるおいしさだよ」
「フランスパンに少量のライ麦が入ったパン・ド・カンパーニュもおすすめだよ」というおはなしでした。
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