
パンの製法の種類は大きくわけて4つあります。
それぞれの製法の選び方は、出来上がりの食感のほか、
設備や生産量に労働力、そして製造販売の規模の大小で変わってきます。
今回は、自家製パンや小規模のパン屋さんをふくめて多く採用されているストレート法についてお話します。

パンの製法 ストレート法(直捏法)

最近だいぶ世の中に浸透してきたストレート法は、直捏法(ジカゴネホウ)とも呼ばれています。
それは全材料を一度に混ぜて生地を作り、発酵後に分割・成型の工程に移っていく製パン法です。
生地の形成上、油脂を加えるタイミングは少々難しいですが
風味や食感の良さに加えて短時間製法なので、手作り指向に融合した作り方と言えます。
おうちのパン作りのほか、小規模経営のベーカリーなど広く採用されている製法です。

ストレート法の中にも種類がありますよ。
それらがこちら↓
速成法(ノータイム法)
ノータイム法とも呼ばれる速成法は、“読んで字のごとく”で超大幅な短時間製法です。
【イースト使用生地⇒25分~30分の発酵】捏ね上げ温度は30℃に設定
それによりパンが2.5時間くらいでできてしまいます。
先日のギャラリーで紹介したナンはノータイム法でした。

短時間法
こちらも“読んだまま”ではありますが、ノータイム法よりは発酵時間が長くなります。
【イースト使用生地⇒60分の発酵】捏ね上げ温度は27~28℃に設定
これまでのギャラリー《本日のパン》でもたくさん紹介しています。
例えば、レシピ2のベーグルが短時間法です(一次発酵40~50分)。

標準法
上記の短時間法の次に発酵時間が長いのが標準法です。
標準法には、ノータイム法や短時間法にはない工程があります。
それは、発酵の途中で『パンチ』を入れることです。
【イースト使用生地⇒100~120分の発酵、途中でパンチ】捏ね上げ温度は27℃に設定
これまでのギャラリー《本日のパン》では、角型食パンが標準法です。



パンチについてはこちらから⇓
ストレート法の特徴
ストレート法の特徴は、特有の風味や食感が優れていることです。
また、生地の良否がそのまま出来上がりパンの品質の差としてあらわれます。

このように注意すべき点がありますので、
長所と短所を挙げておきますね。

ストレート法の長所
・風味がよい
・食感がよい(特に*クラストの味と食感)
・トーストにしても⁑焼きやせがおきない
・工程時間が短い
・弾力がある
・設備とスペースがあまりいらない
・発酵ロスが少ない
・他の製法と比較して発酵室の面積が少なくてすむ

*クラスト;パンの皮のこと
⁑焼きやせ;生地がしぼみ小さくなること

ストレート法の短所
・老化がはやい
・内層が粗く気泡が厚い
・皮質かたく、ソフトさに欠ける
・ボリュームが劣る
・生地に安定性が低い
・発酵耐性が悪い
・機械耐性が劣る
・一度捏ね上げたら修正が不可能


比較として
中種法はパンにボリュームが出る、
老化が遅いなどの長所があります。
※詳しくはまた今度…
ストレート法 発酵時間の調整
他の製法に比べて、短時間で作ることができるストレート法。
その風味と食感の良さからこの製法を取り入れることは多いのですが、
一度捏ね上げた生地の回復は不可能という最大のチャレンジを抱えます。
そのためには、一発勝負で捏ね上げ温度を合わせることが大切です。
なお、目標の捏ね上げ温度に対して、実際の捏ね上げ温度が異なる場合は発酵時間で調整します。
発酵時間の調整;目標との差に対して±1℃につき±10分
まとめ
今日は、おうちでも手軽に取り入れられるので人気のストレート法は
「捏ね上げ温度をきちんと管理することがおいしさの秘訣だよ」
「温度の他に季節に合わせてイーストの量で発酵具合を調整できるよ」というお話でした。

(ノータイム法)

(60分標準法)

一次発酵途中60分でパンチ(標準法)




ストレート法では
生地を乾燥させないこともポイントです♪
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