
パンチというのは、パンを作る時に“一次発酵途中でするガス抜き“のことです。
レシピを見ていて、工程に含まれているものと、
パンチなしで工程が進んでいくものとあることにお気づきでしょうか?
今回は、パンチとはなんなのかをひも解きます。
パンチの目的

まずは、パンチの目的は以下のとおりです。
《目的》
⑴生地中に充満した炭酸ガスを抜く
⑵新しい酸素を供給してイーストを刺激する
⑶その後のイーストの働きが活発になる
⑷生地表面と内部の温度を均一にする
⑸生地に加工効果が起きて、良い食感とコクを出す

これをみるといいとこ尽くしですよね!
だけど、なんでもかんでもパンチを入れるわけでもないんです。
パンチをしない生地

メリットが多ければ、なんでも取り入れたいと思ってしまいますが、パンチをしない生地もあります。
《パンチをしない生地》
⑴イースト量の多い生地
⑵油脂の多い生地
⑶グルテンの少ない粉や質の悪い粉の場合
⑷酸化剤の多い配合の場合
⑸発酵時間が60分以内の場合
参考:小麦のいのち、グルテン

反対に
パンチを入れた方がよいものは
キメを粗くしたい生地です
パンチのやり方




パンチのやり方はとても簡単です。
容器に入れたままの状態で、表面を優しく片手グーで(または両手で平均に)押します。
その次に両手で生地を持ち、内側に折りたたむように数回生地を動かします。
新鮮な空気を入れて軽く包み込むイメージです。
きれいな表面を上、閉じ口を下にして容器にもどして完了です。

とってもやわらかく&やさしくする
大玉生地のまるめの感覚です
パンチの時期

どのくらいでパンチを入れるかと言うと、
・一次発酵スタートから60%くらい経過した時点
・生地の容積が2.8~3.0倍に膨張した時
・*フィンガーテストの程度によって
これらで判断して行います。
*フィンガーテスト
指穴(シケツorゆびあな)テストとも呼ばれ、発酵具合を生地に指1本指してみるもの。
指であけた穴の戻り具合で発酵状態をみる。
※穴がすぐもどるものは発酵不足、生地全体が沈むのは発酵過多、指一本分の穴が残る状態が良い
パンチの際の注意

簡単な作業ながら注意する点がいくつかあります。
・強く入れ過ぎないこと➡グルテンがしまって生地伸びがわるくなる
・かための生地や発酵過多気味の生地➡軽めに
・発酵不足の生地➡やや強めに
パンチが終わったら



パンチが終わったら、一次発酵の続きです。ふさわしい場所において発酵させます。
この後、生地は1.8~2.0倍に膨張します。
生地の捏ね上げ温度が低かった場合には、ここでの発酵時間を長めにします。
逆に捏ね上げ温度が高かった場合には、短めにします。
万一、パンチをするタイミングが少し早かったかな?と思った時はここで時間調整をして長くとります。
まとめ
たかがパンチ、されどパンチ!
最後にこんなことを記すのはなんですが、フランスではほとんどパンチをしないんです。
一方で、なんでもかんでも入れたがるパン職人もいます。笑
わたしは…というとあまりパンチをしない派です。
たまに思い出したようにしたくなりますが…
今日は「パンチはパン作りの応用編として覚えておくと便利だよ」というおはなしでした。
コメント