
パン屋さんのお仕事 ってどんなイメージでしょうか?
『朝が早い』、『粉まみれになりながら生地をこねている』、『パンがなくなったら閉店』…
工房が見えるパン屋さんなら、構造上だいたいお店と一番近いのはオーブンですので、
オーブンから焼きたてパンを取り出しているのが見えたり、
オーブンに入れる前の生地に卵を塗っているのを見たことがあるのではないでしょうか。
だけど、パン屋さんのお仕事って実はよく知られてない部分もあると思います。
今日は、パン屋さんの仕事内容について体験談をお話します。
パンを作る
パン屋さんたるもの、パンを作っていてほしいですよね。
もちろんパンを作ります。ですが、多くのパン屋さんは作業を工程ごとに分担しています。

仕込みマン

仕込みマンは、計量・ミキシング・一次発酵終了までを管理します。
パン屋さんによって日々のパンの種類や仕込み量が同じところと、そうではないパターンとがあります。
いずれにしても、おいしいパンを作るためには、温度を管理して最高の生地を捏ね上げ、
ベストな発酵状態で次にバトンを渡さなくてはいけません。
時には水量を間違えて青ざめることもありますが、キモの仕事なので心してのぞみます。
なお、新人さん/見習いさんは仕込みマンからスタートです。
参考:どうしよう!水量をまちがえた!
パンの作り方①ストレート法
捏ね上げ温度とミキサーのはなし
麺台(めんだい)

多くのパン屋さんの作業台は、家庭用の白いまな板のドデカ版のようなものです。
この作業台を麵台と言って、そこで作業する人のことも麵台と呼びます。
そこでの工程である生地分割・まるめ・ベンチタイム・成型・二次発酵(ホイロ機に入れる)までを管理します。
それだけでなく、生地に折込み用のバターをとじてデニッシュ生地を作るなど、麵台でやることは幅広いのです。
中間地点でありながら、前後の工程とつながる重要ポジションなので、ここは司令塔が入ります。
そして規模によってはとても一人ではさばけないので、
包みマン(あんぱんやクリームパンなどのフィリングをパン生地で包む人)がいたり、
仕込みマンが合間をみて分割・まるめ・成型を一緒にやったりします。
焼き場

焼き場はオーブンの焼成担当のことです。
二次発酵の終点を見極めて、オーブンに入れる、そして出すという工程を管理します。
焼成前後の仕上げ作業も焼き場のお仕事です。
例えば、焼成前に卵液を塗る・チョコレートで文字や顔を描く、焼成後に粉糖をふる・ナパージュ(ジャムみたいなもの)を塗るなど。
最後の最後のふたつの見極め(二次発酵終わり&焼き具合終点)なので
だいたい2番手や3番手がこのポジションについていることが多いです。
フライヤーマン


フライヤーマンはパンをオーブンではなくて、揚げて仕上げる担当です。
その際は焼き場担当と同様に、二次発酵の終点を見極めることが必要です。
なお、フライヤーマンは仕込みマンや焼き場が兼務することが多いです。

わたしはプチペのあとの友人のパン屋さんの時は
仕込みマン+フライヤーマン+麵台のフォローをしていましたよ♪
また、フライヤーの横にガスもあって、
ベーグルを茹でるのもフライヤーマンの仕事でした。
サンドウィッチマン

サンドウィッチマンは焼き上がりのパンを使用したサンドウィッチや総菜パンを作る人です。
多くはパート・アルバイトの方の力を借りることが多いように思います。

しかし、サンドウィッチマンのパートさんたちは
みなさんかなりのベテラン!
というパン屋さんあるある…笑
ここで使う揚げ物はフライヤーマンではなく、
サンドウィッチマンがフライヤーの空き具合をみながら揚げに来ていました。
お掃除
パン屋さんのお仕事に掃除はつきものです。
それぞれ作業しながら掃除、一段落で掃除、全部終わったら最後の掃除…
それぞれの掃除場所
《仕込みマン》
ミキサー・シンク
《麵台》
麵台・分割機(生地を分割する機械)・シーター(デニッシュ生地を作る機械)・ラウンダー(食パンなどの成型機)
《焼き場》
オーブン・天板
《フライヤーマン》
フライヤー
《担当なし》
ばんじゅう(プラスチックの箱)、床&排水溝の水まきデッキブラシがけ
※パン屋さんの床はホースで水まきができる環境でないと保健所の許可がおりません



仕入&発注 在庫管理
仕入&発注は想像できるパン屋さんのお仕事だと思います。
材料やラッピング用品やら…なんでもかんでも在庫の把握と発注は必要です。
決まった曜日に各業者から発注した品が届きますが、小麦粉と砂糖の届く曜日はだいたい週2回。
この2大アイテムの着荷は気合を入れなくてはなりません。
なぜなら、新しいものが奥になるように入れ替えるのですが、
小麦は1袋25kg、砂糖は1袋30kgなのです。
縦に積んでもあっても、横に積まれていてもとにかく入れ替えはハードです。

販売
販売のお仕事のならば、普段のパン屋さんで目に留まることがあるかもしれません。


販売のお仕事
【接客】お会計・パンを包んで渡す 参考:パン屋さんのお会計
【パンのスライス】予めスライス、またはお会計のお客様からの依頼でスライス

プチペの時、
ご近所の自転車屋さんのお母さんが
よくパンドミーを買いに来てくださいました。
毎回『4枚切りにプレスしてね』と言われるので
ぶしゃーっと潰れたパンドミーを想像してました。笑
【パンの袋詰め】パンのあら熱がとれたら袋にいれる(乾燥させない)
【賞味期限】ジャムやピクルス、クッキーなど既製品の管理
【プライスカード/POP】汚れていないか、ちがうのに添えられていないか、新メニュー用作成
【棚/冷蔵庫】ジュース・総菜・サンドウィッチ、掃除、取りやすく前につめる

ちなみに
牛乳は乳製品の販売許可が必要なので
とてもパンに合うのに
どこのパン屋さんにでも置いてあるものではありません。
【トレー&トング】洗浄、アルコール消毒、補充
【味見用のパン】小さく切る&とってもらえるようアピール、乾燥しないように
配送

この配送という仕事は、どこのパン屋さんにもあるとは限りません。
わたしがお世話になった友人のパン屋さんには、配送担当のおじちゃんが数名いました。
彼らのお仕事は、本店から姉妹店へのパンの配送・卸先へのパンのお届けです。
卸先は競輪場や駅、空港、機内食…などでしたので、みなさんてんてこまいでした。

空港エピソード:
あるGWにお昼から売り子で販売に徹したことがあります。
鬼忙しかったです(^^♪
また、機内食のオーダーは
おいしいことよりも“ポロポロ食べ崩れないもの”でした。
また、配送さんたちが帰ってくると大量のばんじゅうの掃除がまわってきます。
プチペの場合

ここまで紹介してきたようなパン屋さんのお仕事ですが、
プチペの場合はわたし一人のワンオペでしたので、当然すべてをこなしていました。
ただ、とにかくこじんまりと小規模でやっていましたので、ひとりでちょうどいい仕事量でした。
もしもプチペでわたしではない人に出会っていたとしたら、それは母です。
母がケーキを焼いてくれたり、店番をしてくれている間に
わたしは養護学校の職員さん宛てに出張販売にでかけたり、
季節になると税務署に出かけたりすることができたのです。感謝♪
まとめ
今日はパン屋さんのお仕事は「時間との闘い、そしてチームワークだよ」
「次々とやることがあって、あっと言う間に1日が終わるよ」
「何をしていてもパンに囲まれててシアワセだよ」と言うお話でした。

パン屋さんのお仕事の痛いおはなしは
パン屋さんのあいうえお をご覧ください♪
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