
マリー・アントワネットが「パンがなければブリオッシュ(お菓子/ケーキ)を食べればいいじゃない」と言ったという、あのブリオッシュのはなしです。
どうやら、マリー・アントワネットが言ったのではないそうですが、この言葉はとても有名です。
ブリオッシュとフランス人

ブリオッシュは、卵とバターをたくさん使用するパンです。
今やフランス発祥のパンとなっていますが、その歴史はクロワッサンと同じくウィーンから伝わりました。
フランス人が朝に食べるのがクロワッサンかブリオッシュと言われています。
それらはどちらもお高いので、結局バゲットという家庭は多いのですが。
カフェボール(子ども用のラーメンどんぶりくらいの深皿)になみなみとコーヒーやカフェオレを入れて、
クロワッサンやブリオッシュまたは縦に切って軽くトーストしたバゲットにバターを塗ってカフェボールにダイブさせます。
最初は、「ドロドロになったパンの何がおいしいのか?」と思いましたが、慣れるとおいしく感じました。笑

日本に来る異国の方が
「お茶漬け」「卵かけごはん」のおいしさに気づくのと同じですかねぇ…
ブリオッシュとフランスのパン屋さん



写真はいずれもフランスにいた時に撮ったものです。パンだけのものがパン留学していたINBP(製パン学校)での授業で作ったもの。
ピエールのお店はホストファミリーの長男が知人に交渉してくれて、半日見学させてもらった時のものです。
棚の半分はブリオッシュです。残りはクロワッサンやパンオショコラ、パンオレザン…。
フランスのパン屋さんは日本と違って、置いているものはほぼ同じです。
どうしてかというと、パン屋さんの規則が色々あるフランスでは自由にオリジナルパンが出せないし、アレンジもできません。
だから、どこのパン屋さんのパンでもだいたい同じで、だいたいおいしいのです。
そんな中でも、原材料や作業の見極めのタイミングや技術のちがいで、“おいしさレベル“にちがいが出てきます。
参考:パン留学 INBP~帰国編
パン留学 語学学校~受験編
パン留学 準備~到着編

ブリオッシュの種類




ブリオッシュは世界のパンの中で一番リッチなパンの部類にはいります。
このようなバターと卵の風味と砂糖の甘さが感じられるパンは、本来は菓子パンの一種でした。
現代では、甘みを抑えたフォアグラやソーセージなどと相性がよい食事向きのものから、
甘みのあるケーキのようなタイプに加えて地方伝統ものやイベントものもあります。
フランスのブリオッシュ
これはフランスパンによくある傾向ですが、同じ生地でも形が変わることで名称が変わります。
まず基本形は、頭のついたアテット形が代表格です。
ほかに王冠形やパウンド形、円筒形などがあります。
▣ブリオッシュ・ア・テット〔Brioche à tête〕…*僧侶の頭、日本ではだるま型とも呼ばれます。
▣ブリオッシュ・クローンヌ〔Brioche couronne〕…*王冠
▣ブリオッシュ・ナンテール〔Brioche Nanterre〕…パウンド型(ナンテールは地名)
▣ブリオッシュ・ムスリーヌ…円筒形
*アテットは僧侶の祈りの姿勢を現わしてるともいわれています。王冠も寺院で僧侶がかぶるもの。

宗教とパンのつながりは強いですね
ウィーンのブリオッシュ

オーストラリアのウィーンで生まれた卵や砂糖の高配合(リッチ)なパンは、ウィーン式の製法でヨーロッパに広がりました。
ウィーンタイプは今日でも
5本編みや4本編み、ロゼッタ編み、スネークなどの大型編みパンが主流となっています。
その他のブリオッシュ



フランスの各地方にも伝統ブリオッシュがあります。
アルザス地方のクグロフ、プロヴァンス地方のフワスそしてガレット・デ・ロワの代わりのブリオッシュ・デ・ロワ、
ヴァンデーヌ地方のブリオッシュ・ヴァンディエンヌ…。
ご存じの方も多いとは思いますが、サヴァラン(フランス菓子)はブリオッシュに紅茶味のシロップをしみこませて冷やし、
ラム酒やキルシュをかけて生クリームや果物を飾ったものです。
その他にババ・オ・ラムがあり、
こちらはサヴァランに似ていますが、焼きあがったブリオッシュにラム酒(キルシュヴァッサー)のシロップをしみこませ、
熱したあんずジャムを塗ってチェリーを飾るイタリアのナポリやフランス、ポーランド、ロシアなどのお菓子です。
また、イタリアのローマのラムーナというオレンジピール入りもあります。

日本では少し前に注目を浴びた“マリトッツォ”に
ブリオッシュ(風)生地を使っているところが多いようですよ(^^♪
ブリオッシュの作り方

ブリオッシュの製法はオーバーナイト法です。
ミキシング終了後、2時間常温で発酵させたあとに一晩冷蔵庫で発酵させます。
冷蔵庫からだした状態で分割を始めるので、二次発酵もゆっくり2時間半~3時間かけます。
まとめ


このように、ブリオッシュってパンは、原料にバターと卵たっぷり使用し、
しかもオーバーナイト法なのでなんとも高級で手間のかかるパンなんですよね。
だからあまりお店に並ばない…。
水分の100%を卵にするのがブリオッシュですが、100%ではないものはパン・ブリオッシェ(Pain brioché)と呼びます。
そんなわけで、この贅沢はおうちパンに向いているのではないかと思っています。
今日は「クロワッサンとかブリオッシュとかやっぱりフランスのパンが好きなんだな」
「“マリトッツォ”はブリオッシュのブームなのか?」「おうちで作るとそんなに材料費がかからないよ」というおはなしでした。
コメント