
米粉は小麦粉とは相対する存在のようで、むかしむかしは、パン作りにはあまり登場しませんでした。
ところが、2010年代前半から米粉入りのケーキが出始め、
その後米粉入りのパンが登場して注目を集めて米粉パンブーム到来。
10年後の現在では「グルテンフリーとして小麦粉から米粉にチェンジする」という考えを持つ人が、
一定数存在するようになってきています。
米粉ってなぁに?



米粉と書いて「べいふん」「べいこ」「こめこ」と読む、その字のごとく米を製粉したものが米粉です。
▣原料となる米の種類…うるち米、もち米
▣加工法のちがい…上新粉、白玉粉など
▣歴史…もともと米や玄米を炊いて「飯」にしていたものをそのまま食べていましたが、
一部の地域で米を挽いて焼いて食べるようになりました。
その中から、やがてもち米を使用する地域が現れました。
大きなきっかけは、奈良時代(710~794年)に、米粉に水を加えて練った後に揚げる菓子が大陸から伝わったことです。
また、江戸時代(1603~1868年)に和菓子が発展した際に、米粉や白玉粉が使用されるようになりました。
米粉の種類

米粉はうるち米ともち米からできていますが、米の種類と加工法によって種類がわかれます。
うるち米から作られる米粉



⑴米粒を生のまま+乾燥状態で粉にする
・新粉…精白うるち米を水洗い→水切り→乾燥→製粉
※ふるいにかけた粗さで種類に分かれる…「並新粉(粗)」「上新粉(細)」「上用粉(微細)」
⑵米粒を加熱して粉にする
・乳児粉…離乳食、重湯用に使用される
・みじん粉(こ)、「並早粉(なみはやこ)…米粒を蒸煮→乾燥→焙煎→製粉
・上南粉(じょうなんこ)…洗米→水漬け→蒸す→乾燥→粉砕→煎りあげる
※うるち米は稀
もち米から作られる米粉



⑴米粒を生のまま+乾燥状態で粉にする
・餅粉、求肥粉(ぎゅうひこ)…もち米を水洗い→水切り→乾燥→製粉
※製法は上新粉と同じ
⑵米粒を生のまま+水挽製法で粉にする
・白玉粉、寒ざらし粉…もち米を水洗い→水漬け→水切り→加水しながら磨砕
※手間暇をかけた上等品。餅粉よりも細かい。
⑶米粒を加熱して粉にする
・寒梅粉(かんばいこ)…精白もち米を水洗い→水漬け→蒸す→白い餅にする→粉砕(製粉)
※関東地方ではこれを「みじん粉」と呼ぶ
・道明寺(どうみょうじ)…もち精米を水に浸す→蒸す→乾燥し干飯(ほしいい)を作る→粗く砕く
※名前の由来は大阪(道明寺)で作られたから
・落雁粉(らくがんこ)…もち米を水洗い→乾燥→蒸煮せず焙煎→製粉
※道明寺粉をもっと細かく煎りあげたものを呼ぶこともある
⑷米粒を加熱して粉にする
・上南粉(じょうなんこ)…洗米→水漬け→蒸す→乾燥→粉砕→煎りあげる
※道明寺粉やみじん粉よりも細かい
うるち米ともち米を混ぜて作るもの



⑴米粒を生のまま+乾燥状態で粉にする
・団子粉(だんごこ)…うるち米ともち米を精白→水洗い→水漬け→粉砕(製粉)→乾燥
※メーカーによって配合が異なる
パンづくりと米粉

現在では、パン生地に米粉を使用することがノーマルな考え方になっていますが、
「米粉はグルテンがないためパンに使用しない・できない」とずっと言われていました。
日本だけではなく、ヨーロッパ・アメリカのいずれもでした。
しかし、「グルテンフリー」の声が大きくなるにつれて、世界でも見直されています。
グルテンフリーってなぁに?

グルテンフリーとは、グルテンを含む食品摂取を避けるというライフスタイルのことです。
逆にグルテンが含まれている食品はなにか?というと、小麦なんですね、小麦粉製品。

グルテンフリーの生活で、
肌がきれいになる、体質改善などの効果が
期待されているのです。
パンのバリエーションの増加
2010年代『もっちり食パン』の売り出しをきっかけに、米粉パンあるいは米粉入りのパンが注目され、
ホームベーカリーでも「お米パンが作れる」というキャッチコピーをよく見かけるほどです。
このように、パン生地に米粉を配合するのがポピュラーになる以前、
米粉を使うパンといえば、オランダのダッチブレッドとジョージア国(グルジア)のハチャプリでした。
特にダッチブレッドは、タイガーブレッドとも言われ、トラ柄の見た目が珍しく印象的です。
大手のパン屋さんで、たまにみかけますよね。
このトラ柄は、上新粉を用いたトッピングをパン生地にかぶせて作ります。
焼くと表面が割れてパリパリとした食感と塩味が楽しめるパンです。
まとめ

今日は「ダッチブレッドに出会ったらぜひ食べてみてほしいな」
「料理のレシピで米粉と言えば一般的には上新粉のことをさすよ」
「『こめこ』と言い慣れているけど『べいふん』が本来の呼び方なんだって」
「パン生地に米粉やお米を入れるともっちりするので人気があるよ」というおはなしでした。
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