
フランスで2月2日は「Crêpe:クレープの日」です。
この日はカトリックの祝日(Ⅽhandeleur:シャンドルール)で、家族でクレープを食べる日です。
その始まりは古代ローマに遡り、ロウソク(chandelle:シャンデル)を持って夜な夜な練り歩く儀式がありました。
その後、キリスト教がローマ全域に広まった5世紀後半に、ローマ教皇:ゲラシウス1世がこの習慣を引き継ぎました。
このローマ教皇が、*ローマに巡礼に来た人たちにガレットを配るようになりました。
以降、2月2日を祝日にしてクレープを食べる日になったのです。
*諸説あります
そば粉のクレープ:ガレット

紀元前7000年前、挽いて粉にした穀物と水を混ぜて、熱した石の上で焼いたのがパンの原形です。
クレープはこの仲間?名残りとも言えます。
古くからあるGalette:ガレットは、元々は色んな穀物で作られていました。
現在のようにそば粉が使われるようになったのは、アジアから十字軍によって作物が運ばれた12世紀のことです。
フランスのブルターニュ地方では、土地が貧しくて小麦が育たなかったのですが、
ソバの栽培はうまくいきました。そこでソバ粉のクレープが誕生したのです。
そしてこの食べ物は庶民の食べ物、つまりパンの代わりとして食されるようになりました。
ちなみに、東部ではソバ100%、西部では小麦粉を混ぜるなど、地域によってソバの配合が変わります。

Galette:ガレットの名前の由来は、
パン生地を焼いたのが「石」からきています。
仏:galet(ガレ)=小石

クレープの進化



現在のような小麦粉のクレープになったのは、19世紀になってからです。
きっかけは、フランスのルイ13世(1601ー1643年)の妻アンヌ王妃が、偶然食べたガレットを気に入って宮殿に取り入れたことだと言われています。
ここで、ソバ粉から小麦粉に代わったんですね。
しかも、ガレットは塩味ですが、アンヌ王妃の影響で”味変”もしました。
牛乳・砂糖・卵なども加えてリッチな配合になったのです。
配合が変わったことによって、焼き色が変わり、ちりめんのような焦げ模様ができたのです。
そこから呼び名がCrêpe:クレープ(=ちりめんの、絹の、縮れた)になりました。
そして、具をのせてたたんだり、巻いたりと変幻自在なクレープは、各国に広まってそれぞれのものが誕生していきます。

王妃には庶民の味(ソバ)は
お気に召さなかったのかしら…
いろんなクレープ



ソバ粉のクレープはガレットと呼び名の区別がありますが、その他はみなクレープと呼んでいます。
フランスでは主に2種類に分類されます。
▣Crêpe sucrée:クレープ・シュクレ…シュクレは砂糖のこと、つまり甘いもの。
いちばんシンプルなものは、バターと砂糖のみ。
その他、生クリーム・フルーツ・ジャム・チョコレートソース・ナッツ・レーズンなど
これらをお菓子のように食べます。
▣Crêpe salée:クレープ・サレ…サレは塩のこと、つまりしょっぱいもの。
ハム・チーズ・チキン・野菜などを軽食のように食べます。






ミルクレープ



Mille Crêpe(ミルクレープ)は、クレープと生クリームを交互に重ねて作るケーキです。
ミル=千なのですが、1,000も重ねないので大げさだなぁといつも思ってしまいます。

実際には20枚くらいでしょうか。
多くても30枚くらいです。
日本のクレープ

日本のクレープは、生クリームやフルーツ、そしてアイスクリームが入っていることもあります。
それをくるくると巻き、ラッピングされて手で持って食べるタイプですが、これをフランス人が見たらびっくり驚く姿です。
このスタイルは、1977年に原宿の「カフェ・クレープ」が始めました。
わたしたちの馴染みある、甘いフルーツや生クリームをのせるスタイルは原宿発祥だったのです!
そして、台湾にも日本のスタイルが伝わりました。
おもしろいのは香港で、なぜか丸いワッフル状の鶏蛋仔(けいたんし・ガイダンジャイ)がクレープとして独自に発展しました。
見た目こそフランスのそれからは大きくかけ離れていますが、
具材はフランスのクレープ・サレと日本のものに近い甘いタイプの両方が採用されています。

まとめ

今日は「クレープはイーストもベーキングパウダーも使わない無発酵パンだよ」
「ガレットにはイーストを入れるレシピがあるよ」「小麦粉は薄力粉なのでグルテンを出さないよ」
「フランスでは左手にコイン・右手にフライパンを持ち、片手でクレープをひっくり返せたらラッキー♪という遊びをするよ」というおはなしでした。

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