
卵がなくてもパンは作れます。
しかし、いわゆるリッチなパンの多くには卵を使用します。
また、パン生地に使用しなくとも、表面に溶き卵をぬることもあります。
卵の種類

パン作りの卵といえば、だいたい鶏卵を思い浮かべると思いますが、
たしかに世の中で卵と言えば…鳥類、爬虫類、両生類、哺乳類、魚類などいろんな種類があります。
ですから、卵といえばイクラやキャビアが真っ先に浮かぶ人がいるかもしれません。
古い歴史の中で、ヒトが食用にしているものは、ニワトリ、アヒル、ウズラなどの鳥類(爬虫類)の卵だと思います。
ほかにも、ガチョウ、ダチョウ、ホロホロ鳥、カモメ、キジの卵を食す国があります。

わたしは茨城県のダチョウ王国のレストランで
ダチョウの卵料理を食べたことがあります!
卵の構造

ざっくり言えば、殻・卵白・卵黄で構成されています。
でももうちょっと細かく言うと…
・殻…クチクラ層という小さな穴があり呼吸している
・胚…黄身の中にあるいのちの部分(裏ごしすると残る)
・白身…からだの部分(水溶性卵白と濃厚卵白の2種類ある)
・黄身…栄養の部分
・カラザ…透明な白身の中にあるドロッとした部分

水溶性卵白は外敵から獲る成分なので
生で食べるとおなかを壊しやすいです。
栄養

鶏卵もうずらも、白玉も赤玉も、有精も無精も栄養は同じです。
殻は99%カルシウムです。
では、全体の57%を占める卵白と、全体の約32%の卵黄の栄養素はどんなものがあるでしょうか。
《卵白》およそ90%の水からなる微アルカリの性質
タンパク質、ビタミンB2、コリン、硫黄など
※脂質=ほぼ0%というのが特徴
《卵黄》微酸性の性質
タンパク質、脂質(コレステロール、レシチン)、ビタミン(カロチン、A、B2)、鉄、カルシウム、リンなど
※コレステロールを多く含むのが特徴

幼少期に我が家では、
卵の殻をすりつぶした粉を飲むというブーム?がありました。
まずくてとても嫌だった思い出ですが、
今ではよく姉と笑いながらその話をします(*´ω`*)
鮮度

卵の鮮度の見分け方はいろんな方法はあります。
⑴殻がザラザラしている
⑵触れて冷たい(気室に空気がたまってくる)
⑶透かして中が明るく見えるもの
⑷振ってみる(黄身が中央にあるもの)
⑸割ってみる(黄身に丸みがあるもの)
⑹6%の食塩水につけてみる(沈むもの)

冷蔵庫での保存はまるい方を上に、
とんがりを下にすると空気が抜けます。
卵白のみなら冷凍できます(^^♪
パン作りでの卵の役割

パン作りにおいては2通りの使用方法です。
ひとつめは副材料として、ふたつめは生地の表面にぬる卵液としての使用です。
副材料として

リッチなパンは、バターと卵の使用量で風味に大きな差が出ます。
卵を使うほどにパンはやわらかくふんわりとした食感になります。
卵使用の役割
・風味がよくなる…特に砂糖との取り合わせにより特有の風味をもたらし、しなやかさを保持する
・焼き色がよくなる
・老化の遅延
しかしながら、ただ多ければよいというものでもありません。
例えば、バターロールなどは粉に対して5~15%配合することがあります。
粉に対して25%を超える場合は全卵ではなく、卵黄のみ使用することもあります。
なぜなら、白身が多すぎると、パンになった際にクラム(パンの身)のヒキが強くなり、ソフトな食感が損なわれてしまいます。
黄身には口溶けの良さとうまみがあるので、卵黄のみ使用でも食感が損なわれることはありません。
卵液ぬり

卵液をぬることにもちゃんとした目的があります。
⑴より色艶を与える
⑵適度に焼けた卵の香りと風味をつける
⑶クラスト(表皮)にしっかりとハリをつける
卵液の作り方
作り方は自由ではありますが、パン屋さんのこだわりを伝えておきます。
①全卵+水+少量の塩
②卵黄のみ
卵液は、生地配合に応じた濃度のものをぬるのがルールです。
具体的には、リッチなパンには濃い卵液をぬり、リーンなパンにはうすい卵液をぬります。
ぬるタイミング その1
その1は【成型直後にぬる】です。
《成型直後にぬる目的》
・工程の効率上
・成型直後に上部にトッピングなどを施す場合
・生地を乾燥させないため
ぬるタイミング その2
その2は【二次発酵(ホイロ)終了後、焼成前にぬる】です。
《二次発酵(ホイロ)終了後、焼成前にぬる目的》
・卵液の伸びが良くぬりやすい
・ツヤの効果を十分に発揮する
・トッピングが施しやすい…二次発酵後で生地面積が広くなっているため

パンの種類によっては2度ぬりをすることもあります!
ぬるときに注意すること


卵液をぬるときの注意は5つです。
⑴二次発酵後にぬる場合は、窯入れ直前を100とするなら90の時にぬる(早めにホイロから出す)
⑵ホイロから出した直後ではなく、やや生地が乾いた状態でぬる
⑶ぬった直後にオーブンに入れず、半乾きの状態でオーブンに入れる
⑷ハケで生地をつぶさない
⑸卵液がパン生地の溝に溜まらないようにする(卵焼きになる)
※毛が抜けるタイプのハケはそれも注意です!
まとめ

わたしにとっては、卵は”あると安心する”存在です。
たとえパンに使わなくても、つい買ってしまう…。
最近では、タイ料理のプーパッポンカレー(Poo Pad Pong Curry)にちょっとだけハマっています。
そんなわけで、この卵料理に合うパンを模索中。近々インジェラに挑戦しようと思っています。
今日は「卵はパンの香りのよいお化粧みたいなもの」「詳細がわかれば見た目の出来が格段にあがる!」
「ツヤ出し用の卵液を使わずに、ジャムや溶かしバターを焼き上げ後にぬる方法もあるよ」というおはなしでした。
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