オートミールを好んで食べますか?
わたしはパン学生だった頃(30年くらい前)に、ハード系のパンと同時にシリアルにハマっていました。ドはまり。
成城石井やら、明治屋やらの輸入物のシリアルを見つけては買って…パン以外はそれを食べていました。
いちごやチョコやバナナなどが入ったものもあって、飽きなかったんです。
牛乳で食べるほかに、ヨーグルトやカッテージチーズと合わせたりしました。
パッケージもおしゃれで、泊りのときも持って行ってました。
それをみたレーズンパン好きの祖母が冗談で『〇〇ちゃんは小鳥の餌を食べてる』と言ったのですが、
それが実しやかに親戚の間で広まって(?)、『〇〇ちゃん、昔トリの餌食べてたって本当?』と、
つい1年くらい前に話題になりました。笑
参考:レーズンパンのはなし (祖母登場)
母校は東京製菓学校(1993~1994)
パン留学③(1995~1996)INBP~帰国編
オートミールってなぁに?
オートミール(英;oatmeal,仏;gruau,独;Haferflocken)とは、オート麦・燕麦(エンバク)と呼ばれる全粒穀類を脱穀したものです。
国によっては、*押し麦・挽いた粉状のもの・調理した粥のこともオートミールと呼びます。
オートミールの加工品は3種類あります。
⑴粒をそのまま残した「トラディショナル」
⑵挽きわりタイプ「クイッククッキング」
⑶さらに細かい「インスタント」
オートミールから、水溶性食物繊維に富んだ外皮を取り出したものはオートブラン(英;oat bran)と言います。
我々がよくシリアルの中で目にするのは
「トラディショナル」が多いのではないでしょうか。
*押し麦=燕麦を蒸してローラーで潰したもの
オートミール 食べ方
日本人はあまり食べ慣れていないかもしれませんが、意外と歴史はあるのです。
明治時代は馬の餌としていましたが、1920年代にはじめて人間用が製品化しました。
昭和天皇の洋食タイプの朝食にはいつもオートミールが出されていたことが、
映画『日本のいちばん長い日』の中でも採りあげられました。
ポリッジ オートミール粥
ヨーロッパの寒い地方では、昔からオートミールのお粥;ポリッジ(porridge)が主食とされています。
ポリッジの材料は【水・塩・オートミール】です。
それらを煮込んだ後、牛乳とハチミツをかけて食べます。
オートミールを食塩水に一晩浸して、翌日に粥状になるまで煮込む方法のほかに、
現代では調理時間を短くするために、電子レンジを使用する方法も出てきました。
同様の理由から、材料も押し麦やクイックタイプを利用するように変化しています。
そのような時短法は、やはり伝統的な調理法に比べると味や食感にちがいがあるようです。
グルーエル 重湯
グルーエル(gruel)は、オートミールと冷水とを混ぜ、こしてから加熱する重湯です。
いわゆる病人食・幼児食という立ち位置です。
ブローズ
ブローズ(brose)とは、未調理のオートミールをバターやクリームと混ぜてポリッジのように食べることをいいます。
そのほかには、パンやお菓子に入れたり肉料理の詰め物に使用するのもブローズに入ります。
栄養
無精製で全粒穀物であるオートミールは、その他の精製穀類と比較すると食物繊維・ミネラル・ビタミンが豊富です。
特に食物繊維は水溶性・不溶性ともに豊富であることと、
食べると血中コレステロール濃度が下がるという研究結果を耳にして、健康食品としての知名度が上がりました。
また、小麦粉と比べてカルシウム、鉄、ビタミンB群が多いのも注目されるポイントです。
2020年コロナ渦中で緊急事態宣言が出たころ、
色んな食品がスーパーの棚からなくなりましたが、
オートミールもそのひとつだったそうです。
パンとオートミール
イギリスやアイルランド、ドイツ、フィンランドなどの国々では、
昔からオートミールのパンがよく作られていました。
イギリスにおいては19世紀後半から、アメリカやロシアから大量に小麦が輸入されました。
それまで、小麦粉のパンは金持ちだけのもので、庶民はライ麦・大麦・オートミールのパンを食べていたそうです。
それぞれの国に伝統的な“オートミールブレッド”があり、個性豊かなバリエーションがあります。
ですが”ブレッド”は、アイルランドのようにソーダブレッド(重曹でふくらませたもの)や、ビスケットのようなものまであります。
いずれにしても、
貧しい食べ物だったオートミールが
すっかり健康食に見直されたのです!
パン作りに使用するには…
パンに使用する場合に、小麦粉扱いするのか?しないのか?というとこからお話します。
答えは両方!こんな答えでスミマセン(^^♪
小麦粉ほどのグルテンはないけれど、ライ麦のように全くちからがないわけでもないのです。
そこで提案するのは、この2つのパターン。
⑴外パーセントにする場合(小麦粉扱いしない)
・小麦粉100%+オートミール30%
⑵内パーセントにする場合(小麦粉扱いする)
・小麦粉80%+オートミール20%
それから、下記のような要点を守って配合や工程を作っていきます。
・外パーセントにした場合は、給水量が多くなる
・オートミールは全粒粉と同様の前処理が必要…口溶けがよくなる
・ハチミツと非常に相性が良い
・前処理時に熱を加えると粘りが出て生地が切れてしまい、ボリュームが出ないので注意する
・生地は硬めに仕込み、ミキシングは軽くする
・窯伸びは弱いので、ホイロは100%以上出す
・外観はオートミールが入っているかどうかがわかりにくい
参考:グラハム粉&全粒粉のはなし
本日のパン2022.6.23 全粒粉ブレッド (←前処理の実践)
まとめ
ハチミツとオートミールの相性が良いことは、シリアルバーなどからもわかりますよね。
このようにして、実は知らず知らずのうちに、オートミールを食べているかもしれません。
今日は「テキサス州にはオートミールという名の小さな町があったので、毎年9月にオートミール祭りがあるんだって」
「”セサミストリート”に登場するバードの好物はポリッジ!」
「メキシコ料理のチリコンカーンにオートミールでとろみをつけることもあるよ」
「ケロッグにもなんとなくありがとう!と言いたい」というおはなしでした。
コメント
オートミール大好きです。
ダイエットで始めたのですが、
確かにコレステロールも20下がりました。きのこたっぷりのトマトスープに入れてお弁当にします。お昼にはもちもちです。
こんにちは!
キノコたっぷりのトマトスープでオートミールをいただくのも、とってもおいしそうですね(^^♪
そのままパンにできそうなので今度やってみます!
Merci beaucoup!