
チャンセロって何?
フランスから帰ってきてどうなったか?というお話です。
参考:パン留学 準備ー到着編
パン留学 語学学校ー受験編
パン留学 INBPー帰国編
住んでいたのは茨城県
父の仕事の関係で実家が茨城県になっていました。
フランスのパン学校の修了が6月末だったので、7月に帰国しました。
さて、どうしましょう。
パン留学で燃え尽きたつもりはなかったのですが、
CAP試験も含めて全課程を無事に修了すること、
無事にいろんな手続きを済ませて、無事に戻ってくることに一生懸命になり過ぎ、
帰国後どうするかはあまり考えられていませんでした。

季節は夏 パン屋の敵
それというもの、季節が夏だったからです。
日本の就職時期としてもズレていますし、
何よりも夏という季節は、パン屋の軽い宿敵です。
暑さは人々のパンへの食欲を衰えさせますし、
パン工房内の異常な温度/湿度ったら…常にサウナ状態です。
多くのパン屋さんがしっかり夏休みをとるのにはこういった理由もあるのでした。

つなぎのアルバイト
気になっていたパン屋さんは、留学前に生活圏内だった都内や横浜にありました。
ダメ元で数軒の門を叩きましたが、扉は開きませんでした。
とりあえず、涼しくなるのを待とう…とクールダウンして、
近所でつなぎのアルバイトを探すことにしました。
わたしよりも先に茨城で生活していた両親の知合いが、
『アルバイトだったら紹介したいところがある』とレストランを紹介してくれました。
それが、【チャンセロチャンセーラ】です。
【CHANCERO CHANCERA】とは“わいわいがやがや”という意味だそうです。
水戸市見川町にあって、自宅から自転車で行けるような場所でした。
知人を通して面接を申し込みました。

即採用! ただしホールスタッフ
平日のランチタイムが終わった後の時間に面接が設定されました。
はじめて行った通称チャンセロは、外観も内装もとても個性的でおしゃれなお店でした。
促されて座った客席で、ドキドキわくわくしながら店内を見渡しました。
面接は”専務”と呼ばれるオーナー夫人でした。
ランチタイム最後のお客さんのお会計を終えて席につき、
『ごめんね、お待たせしちゃって』と専務。
そのまま履歴書を手に取って、目を通していたのでじっとしていたら…
『あっ!!!』と飛び上がるくらい大きな声を出す専務。
『あなた、私と誕生日が一緒じゃない!悪い人なわけがない!採用ねっ!』
思いもよらない理由で即決採用されました。
わたしは少々タジタジでしたが、小柄だけどパワフルなお母ちゃんみたいな専務は
『明日から来られる?』とどんどん話を進めてくれました。
さて、ここは元フランス料理店のシェフ(社長;オーナー)の作るうまいもの屋です。
料理の勉強になるからとキッチン担当を期待していましたが
『あなたはホールよぉ』とバッサリ…
「何言ってんのよ」という心の声が聞こえた気がしました。
接客は嫌いじゃない、いやむしろ好きだし、まぁつなぎのバイトだし…ま、いっか。
ホールスタッフを受け入れ、翌日から働かせてもらえることになりました。



楽しすぎる日々
チャンセロでの日々は楽しくて、忙しくて1日があっと言う間でした。
ホールの仕事の他に、毎月チャンセロニュースを書いたり、
店内レイアウトを触らせて貰ったり…
数か月後には、一緒にランチタイムに入っていた人と二人で社員になっていました。
仕事も楽しければ、一緒に働く人たちに恵まれて
しょっちゅうみんなで出かけていました。







チャンセロにて 手作りパンフェア
ある時、社長に『ねぇ、パン作ってよ』と言われました。
休日に家で焼いて持って行ったら、
『○○パンフェアやろうよ』(○○にはわたしの下の名前が入ります)
「じゃあ、パンに合わせてスペシャルメニュー作って欲しいです!」
これで意気投合して、期間限定の○○パンフェアが始まりました。
1回目はイートインもテイクアウトもできるパンを数種類作りました。






2回目は、ベーグル、ピタパン、ナンと社長のスペシャル料理の組合せ、
3回目は、タコスセットで○○パンフェアを開催させてもらいました。



やっぱりパンが好き
○○パンフェアを考えるのも作るのも、本当に楽しかったです。
これをきっかけに、やっぱりわたしはパン職人として仕事がしたいんだと気づきました。
そこで、居心地のよいチャンセロを離れる決心をしました。
辞めた数か月後にお店をオープンするのですが、
オープンに向けての業者さん選びやメディアへの宣伝を社長が細やかに助けてくれました。


思案 吟味
チャンセロに勤めた1年で、他のパン職人とはちがう経験をすることができました。
結果的に自分でお店を始めることになるきっかけをくれたチャンセロには
感謝の気持ちが尽きません♪
今日は、「帰国後の勤め先はレストランでホールスタッフだった」「でもやっぱりパンの道につながったよ」というお話でした。
こんな話が誰かのお役に立ったら嬉しいです。
続きはまた今度…

※残念ながらチャンセロは閉店して、現在はオーナーもちがう別のお店になっています。
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