”パン屋さんのなにぬねの”、これはパン屋さんやパンについて50音にからめて紹介しているシリーズです。
5回目の今回はナ行です。
パン屋さんやパン職人、パンについて、いつもとちがった角度で知っていただけると嬉しいです。
ちなみにわたしは元パン職人で、過去の経験から記しているので偏りがあるかもしれません。
ですので「ふーん。そんなこともあるのかぁ。」とお気楽にご覧くださるとありがたいです。
参考:パン屋さんのあいうえお
パン屋さんのかきくけこ
パン屋さんのさしすせそ
パン屋さんのたちつてと
パン屋さんのなにぬねの「な」
なにぬねのの「な」は、たくさんある中から3つをピックアップ!
「な」つの過ごし方
パン屋さんもパンも「な」つ(夏)に弱いので、「な」つ(夏)の過ごし方は重要です。
“「あ」の暑い”の時にもお伝えしましたが、パンは暑さに弱いのです。
そして暑いと人間も弱り、食欲が落ちるので「水分をとられるパンなんて食べたくない…」と嫌われがち。
パンにとっても暑さは腐敗の近道です。あっと言う間にカビが生えてしまう…。
非常に悲しいことながら、パンが常温では長持ちしなくなる「な」つ(夏)は、冷蔵や冷凍機能に頼るしかない!
しかし、”パサつき”や”冷蔵庫や冷凍庫のにおい”を吸収しないよう気をつけて保存します。
話はもどって、パン屋さんは酷暑になってもパンを食べてもらいたくて、1年中おいしいパンを焼いています。
「な」つ(夏)でもおいしくパンを食べて明日の活力にしてもらいたいものです。
パンの保存のはなしはまた今度…
パン屋さんの「な」まえ
パン屋さんの「な」まえ(名前)って、単純なものから「どうしてそうなった?」ってものまで色々ありますよね。
わたしも経験しましたが、お店の「な」まえ(名前)はそれなりに考えました。
いや、ある程度こんな「な」まえ(名前)っていうのは頭にあったのですが、それをどう表現するか?ってところでちょっとだけ悩みました。
結果的には「正式名称は覚えにくい」ので早々に愛称;『プチペ』を定着させました。笑
お客さんは愛情をもってくださっている方が多かったので、正式名称も愛称もどちらもすんなりと使いこなしてくださるのですが、
問題は業者さんや、買い出し先で領収書の宛名を書いてもらう時や電話で名乗る時です。
まず「る」の音トリが難しいんですね。「ぬ?」「ん?」「でゅ?」と聞き返されます。
「らりるれろの”る”」「ルパン三世の”る”」「ルーレットの”る”」「ルビーの指輪の”る”」…いろんなことを言ってみました。
『プチペパン』の方も一発クリアは稀でして、かなりの聞き間違いを楽しみました。
このプチペの「な」まえ(名前)が聞き取れないというはなしは、毎回妹に大ウケだったので、これはこれでよかったかな?と思っています。
「な」がら作業
パン屋さんは常に「な」がら作業をしています。
仕込みや焼成をし「な」がら計量、分割、成型作業をしたり、
パンを袋詰めし「な」がら、陳列変更したり…
片付けし「な」がら明日のことを考えています。
要領よく動いて、し「な」がらやることがないときに「休憩」となるんですね。
パン屋さんのなにぬねの「に」
なにぬねのの「に」からも3つです。
「に」おいをかぐ
何を隠そう、パン職人はすぐ「に」おいを嗅ぎます。
これは、料理人も同じかもしれません。
パンを食べる前にパンをちぎって、「に」おいを嗅ぐ。一口かじって、また嗅ぐ。
もうクセのようなもので、ほぼ無意識に嗅ぎます。
「に」おいを嗅いで食べて「ふーん。塩が〇%くらいだな」「バター使ってるんだ」…などと
配合当てをやってしまうわけです。
また、発酵臭を楽しんでいたり、「ん?これは…?」と工程上の出来事を想像したりしているわけです。
外食時にもつい「に」おいを嗅いでしまうので、『自分でもヤなやつだなぁ』と思います(・・;)
「に」ゅうじょう資格
パン屋さんをしていると、業者さんとのつきあいがあって、たまに食品展覧会に呼んでもらったりします。
それはとても興味深いので、たまにその「に」ゅうじょう(入場)資格を利用して足を運びました。
今流行っているもの、これから流行りそうなもの、少し業界は異なるけど「へぇー!」と驚く商品など
おもしろい商品や食材に出会うこともあって、創作意欲を掻き立てられました。
「に」しびが怖い
パン屋さんの立地を考える時に、日当たり具合は重要だと思います。
わたしのお店は「に」しび(西日)がめちゃくちゃ強くパン棚にあたる立地でした。
これは、パンを傷める…と慌ててパン棚の位置を変更しました。
明るくて、国道沿いでよかったんですが、「に」しび(西日)があたる時刻は毎日ロールカーテンをおろしていました。
あまりにも陽が当たるので室温まで上がりますから、空調の効きにも影響しました。
パン屋さんの物件探し中なら、夕方の様子もチェックするべし!です。
パン屋さんのなにぬねの「ぬ」
なにぬねのの「ぬ」は2つをとりあげます。
「ぬ」け道はない
どんな仕事でも同じと言われたらそれまでですが、パン屋さんの成功にも「ぬ」け(抜け道)はありません。
「ぬ」きんでていると言える成功しているパン屋さんを見ると、総じて努力・継続・熟考の跡を感じます。
継続するって大変ですからね。都度、最良の選択をしてきたのだとも思います。
また、自家製パンにしても、おいしいパンを作るには経験の継続が近道です。
楽器を奏でることや自転車や自動車の運転の場合、ある程度のブランクがあっても、再開すると体が覚えているものです。
同様にパンも”一度できるようになったらブランクがあっても大丈夫か?”というと、できます。
だけど、間があき過ぎた場合は「おいしいパンを作るレベルまでの回復」にはある程度の時間がかかると思ったほうがいいです。
わたしもその経験者です。「ぬ」け(道)があればなぁって思いますけど。
『急がば回れ』ですね。
「ぬ」れフキン
おうちでのパン作りでの愛用品は不織布フキンです。「ぬ」れ(濡れ)フキンは多用します。
パン屋さんには色んな機械があるので、おいしいパンへの条件が整った環境です。
それをおうちで再現するのですから、代用品を探してクリアしたいもの。
一次発酵の器(わたしはボールを使用)が小さくて、発酵した生地がはみ出る予想ができるときは予めボールを「ぬ」れ(濡れ)フキンで覆っておきます。
また、二次発酵の時は基本的に毎回「ぬ」れ(濡れ)フキンの登場です。
乾燥している日は、「ぬ」れ(濡れ)フキンの乾き具合でも湿度を判断できて本当に優秀です。
パン屋さんのなにぬねの「ね」
なにぬねのの「ね」も2つのピックアップです。
「ね」あがり
食材の「ね」あがり(値上がり)はパン屋さんに打撃を与えています。
わたしのように、ただ気ままに家でパン焼きを楽しんでいる者にとっては、正直大したことはありません。
しかし、パン屋さんは…
今回(2022年)は小麦・油脂・食肉・野菜・砂糖・包装資材…「ね」あがり(値上がり)ラッシュですもんね。
とは言え、何も削ることはできないはずなので、パンの「ね」あげ(値上げ)をやむなくしたり、細かい節約の積み重ねで
パン屋さんは今回の「ね」あがり(値上がり)も踏んばってくれると思います٩(`・ω・´)و
参考:食品値上がり外部記事(nippon.com)
「ね」んれい
パン職人の「ね」んれい(年齢)制限はあるのでしょうか。
今はどうだかわかりませんが、20年前は雇われる立場の女性は20代までという現実をみました。
自分でお店をやっている人は、昔も今も男女問わず「ね」んれい(年齢)制限なんてありません。
ただ、仲間たち(女性)は結婚を機に辞めることを選んだり、30代までは続けていたけど…
気づけば夫婦で自営の仲間以外の同級生(女性)は、転職や主婦になってパン職人を辞めています。
ちなみに、パン店以外にもパン業界の企業はあるのですが、わたしはその道に進めませんでした。
ですから、そっちの「ね」んれい(年齢)制限については不明です。
パン屋さんって確かに体力勝負の仕事ではありますが、結局は”環境”と”本人のやる気”というところは
性別も関係なく、他の職業と何も変わらないということは付け加えておきます。
わたしがパン業界を卒業した
詳細はまた今度…
パン屋さんのなにぬねの「の」
なにぬねのの「の」も2つにしました。
「の」こりパン
「の」こり(残り)パンってどうしてるの?
パン屋さんに向けられるよくある質問です。
「の」こり(残り)パンがやむなく出てしまった場合、4つの方法があります。
⑴お得袋/お買い得袋…「の」こり(残り)パンの詰め合せをちょっとお得な価格で提供
詰め合せにすることで、単品では選ばないパンを食べてもらえてファンを増やす目的もあり。
⑵リメイクパン…パンをリメイクしておいしく変身させる
甘いパンや調理パンなど変身パンになって活躍していることがあります。
⑶リメイク加工…クルトンやラスクなどちがうものに変身
これらの商品のためにわざと多めに作ることもあります。
⑷まかないパン…実験的にリメイクしたり、持ち帰って自宅用パンにする(従業員が消費)
「ノ」ルマ
「ノ」ルマという言い方は相応しくないですが、どれくらいの売上があればやっていけるの?
これは環境や規模(人員含む)で全く異なるとは思いますが、極小規模で15万円/日を目安としておくとよいのではないでしょうか。
パンは単価が安いので、15万円が高いと思うか安いと思うか…。
これから起業を考えてる人の参考になれば嬉しいです。
パン屋さんのなにぬねの まとめ
パン屋さんのなにぬねのは、パン屋さんのちょっと深い部分になりました。
なにぬねのにはパン屋さんの踏んばりがつまっていました。
それでもこの職業経験者として誇りをもっていますので、今後もパン屋さんとパン作りの楽しさを伝え続けたいと思います。
今日は「以前と比べてパン屋さんの単価は高くなったけど、コンビニパンの単価は安いなと感心するよ」
「最近「な」つ(夏)が長いけど、冷たいパンやInstagramなどのアピールでパン屋さんも頑張ってるよ」
「どこかで「に」おいを嗅いでる人を見かけたらパン職人かも?!」というおはなしでした。
つづき記事:
パン屋さんのはひふへほ
パン屋さんのまみむめも
コメント